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シンジケートローン市場について

シンジケートローン市場は、1990年代末より始まり、上場大企業向けのコミットメントラインが主流でした。その頃、不良債権処理に追われていた金融機関では、自己資本比率の維持と向上に注力していていました。シンジケートローンは、融資先の資金ニーズに対応しつつ、全リスクを負担するのではなく、複数の金融機関との間で分担する仕組みとして活用されました。

加えて、1993年施行の特定融資枠に関する法律によって、コミットメントライン契約にかかる手数料(コミットメントフィー)が利息制限法に抵触するのでは?との懸念も解消したこと及びコミットメントラインはBIS規制上のリスクウェイトが通常融資と比較して低く算定されることも、シンジケートローンが普及した一因といわれます。

これに対して融資先には、コミットメントラインの導入により、不測の事態に備えた手元流動性資金のための経常的な借入が不要になります。こうした借入の返済で貸借対照表の圧縮を図ることができ、支払利息を削減できます。このように貸付人と融資先のニーズが一致することから、シンジケートローンの組成が活性化しました。

貸出スキームの多様性について

シンジケートローンでは、資金使途のキャッシュフローに応じて、複数のトランシェを組み合わせることで、貸出スキームを柔軟に構成できます。たとえば流動性補完としての短期コミットメントライン、経常運転資金としての短期・長期リボルビングタイプ・コミットメントライン、設備資金・社債リファイナンスなどへの長期タームローンから構成されるシンジケートローンにより、融資先の多様な資金使途に応じて再構築できます。その他、下記記載a.b.のような借入形態があり、融資先のキャッシュフローに応じたストラクチャリングができます。

 

a.実行可能期間付タームローンについて

事前契約で定められた期間内、かつ極度額内であれば、複数回のタームローンが実行できるファシリティ形態です。プロジェクト案件などで、資金需要が数次にわたりある場合に利用されます。通常、貸出実行可能期間中はコミットメントフィーないしファシリティフィーを受容します。

 

b.タームアウトオプション付コミットメントファシリティについて

当初期間はコミットメントファシリティですが、オプション行使日に貸出金額の範囲内で、事前に決められた条件のタームローンに切り替えるオプションに融資先に付与されている複合タイプの商品です。社債のリファイナンス案件などで、起債環境次第で、社債またはローンを選択し、有利な調達を図る場合などに利用されます。通常、コミットメントファシリティ期間中は、コミットメントフィーまたはファシリティフィーを受容します。

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東原 正宗

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