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手形貸付とは、融資の実行に当たり貸付先振出の約束手形の交付をするものです。証書貸付は融資の実行にあたり貸付先から借用証書を差し入れるものです。この借用証書は、通常、金銭消費貸借契約書といわれ、貸付金額、資金使途、最終期限、返済方法、利率、利息の支払い方法などが記載されています。
融資において、手形貸付も証書貸付も、その法的性質は金銭消費貸借契約ですが、融資にあたり、約束手形の交付を受けるか、借用証書の交付を受けるかによって、次のようなちがいが、融資先または金融機関に出てきます。
①融資先からみて、証書貸付は、証書によって借入の弁済期(特に長期借入の場合)が確約されますので、、企業経営上安定した資金を確保することができます(また銀行等金融機関からみても、貸付条件が明確にできますので、債権保全上好都合です)。
②長期借入の場合には、金融機関・貸付先ともに、手形書換の手間がかかりませんので、事務処理の合理化が図れます。
③抵当権を設定する場合に、被担保債権を特定しやすい。
①金銭消費貸借契約に基づく貸付債権のほかに手形債権を取得できますので、債権管理・回収上有利です。
②手形徴求のほうが、借用証書を作成するより手続きが簡素です。
③不渡処分制度の利用による弁済履行促進の効果があります(単名手形でも不渡りにできます)。
④融資に当たって貸付先から交付を受けた手形を担保にすることにより、資金の流動化が図れます(日本銀行での手形再割引制度の利用)。
⑤利息前取りとしやすい。
⑥印紙税の負担が軽い。もっとも、長期貸出の場合、証書貸付では、1回の契約書徴求ですみますが、手形貸付では、何回もの手形書換を要するため、通算では証書貸付のほうが融資先にとって有利となることがあります。
⑦手形書換時に、業況や金利の見直しができます。
証書貸付と手形貸付の差異は上記のとおりですが、実際は利用範囲を一律に決めることは困難です。双方の利点や欠点を総合的に検討し、ケースに応じて選択していかざるを得ません。たとえば、融資案件の貸出期間が数カ月であるとか、融資先の業況を数ヶ月ごとにチェックする必要があるようなケースでは、多くの場合、手形貸付が選択されるでしょうし、長期貸出で担保として不動産に抵当権を設定する場合などには、証書貸付としたうえ、定期的な業況報告を求めて業況のチェックを行うことにより、証書貸付の欠点を補うことが肝要です。なお、貸付条件を明確にするために、証書を併用する手形貸付を証書併用手形貸付、証書貸付において単名手形を併用する場合を、手形併用証書貸付といいます。いずれも債権の効力を強化するために行われるものです。