運営:ベストパートナーズ福岡行政書士事務所
〒810-0073 福岡市中央区舞鶴2-3-20 コンドミニアム舞鶴801号

受付時間:8:00〜21:00 
土日祝日でもお問い合わせください。

お気軽にお問合せください
092-725-3126

電子債権記録機関について

(1)電子債権記録機関の役割について

電子記録債権は、電子記録権利者及び電子記録義務者から請求を受けた電子債権記録機関で記録原簿に電子記録を行うことで発生し、また譲渡可能になる性質のものです。電子記録債権に関する取引安全性は、当該電子記録債権の関係者が債権記録のみを信頼して行動すれば、仮に取引の実態と債権記録との間に相違が発生していても、法的に保護される仕組みにより支えられているといえます。

上記のように、記録原簿を保有する電子記録機関の役割はとても重要で、もし、電子記録機関が破たん、それにより業務が滞るような事態が発生すれば、電子記録債権を取り巻く環境は大混乱に陥るでしょう。

このような事態にならないように、電子債権記録機関は、民間企業でありますが、しかしながら、たいへん厳格な審査要件を満たしたうえで、金融庁の指定及び監督を受けることを要されます。電子債権記録機関には、100%を全国銀行協会が出資した株式会社電子債権ネットワークなど、現在、4社が存在します。

 

(2)電子債権記録機関の要件について

電子債権記録業務営業に求められる要件は次の通りです。

①取締役会、監査役会または委員会、会計監査人を置く株式会社であること

②取締役その他役員に、禁固以上の刑から5年未経過など、一定の除外事由がないこと

③定款及び業務規定が法令適合しており、かつ、電子記録債権業を適切かつ確実に遂行するために十分な内容であること

④電子記録債権業を健全に遂行するに足る財産的基礎を持ち、かつ、電子債権記録業に関する収支見込みが良好であること

⑤人的構成が、電子記録債権業を適正かつ確実に遂行できる知識と経験をもち、かつ、十分な社会的信用を有すること

⑥5億円以上の資本金の額であること

 

電子債権記録機関は、電子債権記録業とこれに付帯する業務のほか、他の業務の営業が禁止されています。兼業禁止の趣旨は、兼業分野の不振が引き金になる破たんリスクの回避と電子債権記録業で知り得た情報を、兼業事業において利用することに伴う弊害回避のためです。

 

(3)電子債権記録機関の法的責任について

①不実の電子記録等に関する責任

債権記録内容が電子記録権利者及び電子記録債務者が請求した内容と相違があったり、または、二重に譲渡されていたりするなど、不実の電磁記録が行われた場合は、電子債権記録機関で、代表者及び使用人その他の従業員がその職務を遂行するについて注意を怠らなかったことを証明できない限り、電子記録を請求した者その他の第三者に発生した損害賠償する責任を負います。

②無権限者の請求による電子記録に関する責任

無権限者(代理権を持たない者、他人になりすました者)の請求によって電子記録がされてしまったケースでは、電子債権記録機関で、代表者及び使用人その他の従業員がその職務遂行について注意を怠らなかったことを証明できない限り、電子記録を請求した者その他の第三者に発生した損害賠償する責任を負います。

電子記録債権の金融業務への利用について

(1)電子記録債権の手形的利用方法について

かねてより、日本での商取引にでは、決済方法や資金調達方法として手形が大切な役割を果たしてきました。中でも、善意取得や人的抗弁事由の切断などによる安全保護、また手形交換による利便性の高い決済手続き、不渡手形に対する銀行取引停止処分による信用維持機能の担保、など手形は幅広く利用されてきました。

反面、手形には紙媒体に特有の紛失リスクや盗難リスクがあり、また、印紙税や発行に係る事務処理がありますので、振り込みや一括決済方式の普及が高まるにつれ、流通量が減少傾向に転じ、個人事業主や中小企業にとって手形割引による資金調達が難しくなってきています。

上記から、個人事業主や中小企業の円滑な資金調達を目的にして、不渡時の制裁、割引制度を備えた、電子記録債権を手形のように用いる傾向が高まりつつあります。また、電子債権記録機関では、電子記録債権のことを電子手形とよぶこともあり、電子記録債権を手形のように機能させることが、電子記録債権の利用方法として想定されています。

 

(2)その他、金融業務への利用について

①売掛債権の流動化について

事業体が有する売掛債権の資産規模は資金調達への活用の点では、相当規模の潜在量があります。売掛債権を電子記録債権化して、流動化させる実用的なスキームが構築されることで、個人事業主や中小企業の資金調達環境の改善が期待されています。また、売掛債権による資金調達利用のスキームが整備されることで、財務改善に伴う経営のIT化がすすむのではないかともいわれています。ただ、電子記録債権として活用できるのは、既に発生している売掛債権に限定され、これから発生する売掛債権の流動化はできません。

 

(3)シンジケート・ローンの流動化について

規模の大きい資金調達ニーズに対して複数の金融機関が協調をもってシンジケート団を組織して、同一条件で融資をすることをシンジケート・ローンといいます。近年では、シンジケート・ローン債権がセカンダリー市場で売買されるケースも増えています。

債権者が譲渡の事実を明らかにしたがらないシンジケート・ローンの流動化では、動産・債権譲渡特例法に基づく債権譲渡登記のみをして債務者対抗要件を具備しない場合や、対抗要件をまったく具備しないケースもあります。しかし、債務者への通知不要で、かつ、簡素な手続きで債権譲渡の法的安定を高めることのできる方法として、電子記録債権の利用が注目されています。

 

(4)リース・クレジット債権の流動化について

今後、注目されている資金調達方法として、リース債権やクレジット債権の流動化による資金調達がります。

リースやクレジット債権流動化の手法は、リース会社やクレジット会社が、複数顧客の債権を包括してSPCに譲渡します。次に、SPCがこの債権を裏付け資産として証券を発行して投資家に販売する手法や、信託銀行に信託譲渡して取得した信託受益権を投資家に販売することで資金調達する手法が採られています。

電子記録債権を利用することで、債権の二重譲渡回避、法的安定性を、リース・クレジット債権の流動化手続きでも保つことができます。

お問合せはこちら

お問合せはお気軽に

092-725-3126

メールでのお問合せは24時間受け付けております。お気軽にご連絡ください。

ごあいさつ

東原 正宗

親切・丁寧な対応をモットーとしておりますのでお気軽にご相談ください。