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求償権の範囲について

支払承諾取引は、銀行等金融機関による保証取引です。支払承諾の委託が明示されている支払承諾約定書を受け入れて実行した支払承諾は委託を受けてした保証承諾ですが、支払承諾約定書を受け入れていない支払承諾は委託を受けていない保証になります。

委託を受けた保証人の求償権の範囲は、弁済その他免責ありたる日以後の法定利息及び避くることを得ざりし費用その他の損害の賠償と定められています。また銀行は、利息・損害金について支払承諾約定書または銀行取引約定書に特約していますので、結局は保証債務支払い額に、約定書に定める損害金を加え、支払いのために要した費用、債権の実行または保全に要した費用等を請求します。なお、委託を受けない保証は、委託を受けた保証よりも求償権の範囲や、事前求償権の行使について不利な扱いを受けます。

事前求償について

銀行等金融機関は、保証債務を履行することで取引先に対する求償権を取得しますが、たいていの場合その時点で取引先は支払い不能になっていますので、求償権の行使は困難なのが実情です。そこで保証債務を取得してはじめて求償権を取得できるのではなく、一定の状態になったときは、保証債務履行を待つまでもなく、取引先に対して事前求償(あらかじめ求償しておくこと)が必要となります。

民法では、

a.主たる債務者が破産手続き開始決定を受けたのに債権者が配当加入しないとき

b.主たる債務が弁済期にあるとき

c.債務の弁済期が不確定でその最長期も確定できない場合で、保証契約後10年を経過した時に、保証人は事前求償できる旨を定めていますが(民法460条)、十分とはいえません。また、求償権を事前行使する際には、主たる債務者から保証人に対して担保の請求、自分を免責させることの請求ができ、或いは主たる債務者が供託・担保提供したり保証人を免責させることで、この求償債務を免れることができるようになっています(民法461条)。また、原債権や求償権に十分な担保があるときは事前求償権は認められないとする判例もあります。そこで支払承諾取引では、支払承諾約定書にa.b.のような特約を設けて、民法460条に定められた(支払承諾約定書を受け入れていない場合の基準となります)事前求償に関する要件の拡大を図っている場合があります。

a.一般の銀行取引約証書の期限の利益喪失条項と同じ事由が発生した時は、あらかじめ求償権の行使に応じ、求償債務を負担すること

b.原債権あるいは求償権に担保があると否とにかかわらず求償に応ずること、また、銀行に対して、担保の請求あるいは原債務の免責を請求しないこと

このa.b.の特約により、取引先に信用異常が発生した場合は、取引先は銀行が保証債務を履行していなくても、銀行に対して求償債務を負うことになり、結果的に銀行はこの事前求償権を自働債権として、預金との相殺が可能になります。

これが意味することは、事前求償権を銀行の権利保全のために十分に行使するには、特約付きの支払承諾約定書を受け入れることが、実質的に必要不可欠な条件だということです。特約のない銀行取引約定書のみでは、民法上認められている主たる債務の抗弁権を放棄させることはできず、期限の利益喪失事由の惹起というような理由のみで、事前求償権を行使できません。

取引先に倒産等の事態が発生し、債権回収に入ったときは、支払承諾取引については、直ちに債権者に対し代位弁済をすることのほかは、第一に事前求償の通知をして、求償権の事前行使を可能にしておくことが必要なのです。

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東原 正宗

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