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手形書換の法的性格に関する最判昭29.11.18の考え方は、前述のとおり、旧手形を返却した場合には、更改もしくは代物弁済になり、返却しなかった場合は支払延期となるというものです(東京地判平8・9・24は更改とはならないとする)。
手形上の債務に抵当権を設定している場合、手形書換が更改もしくは代物弁済となると、旧手形債務の消滅とともに旧手形債務を担保する抵当権も消滅してしまうことになりかねませんので、手形書換時に、旧手形を返却しないで金融機関にとめおき、手形書換が単なる支払延期であることを明確にされます。
旧手形を返却しない場合には、旧手形は消滅せずに金融機関は新旧両手形債権を有することになりますが、旧手形債権を行使しても新手形による支払い猶予の抗弁をうけることになります。また、一方の手形支払いにより他方も消滅することは当然です。
金融機関側としては、手形上の債権を被担保債権とする抵当権の設定は、手形書換時に上記のような問題がありますので、極力回避され、原因債権である貸付債権を被担保債権とする抵当権が設定されます。
このように、手形書換時には旧手形を返却するのが一般的な取り扱いと思われますが、手形債権そのものに抵当権や保証がついており、手形債権の同一性を確保する必要がある場合など債権保全上必要と認められる場合には、旧手形を返却せずに、金融機関に保管される場合もあります。