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アレンジャーの役割について

アレンジャーは借入人の委任を受けて、シンジケートローンに参画する見込みがある銀行等金融機関に案件を紹介して、複数の金融機関を集合させてシンジケートローンを組成します。

具体的には、借入人のニーズの整理、タームローン、コミットメントライン等の商品や期間、金利、返済方法など融資条件の提案から、金融機関の招へい、シンジケートローン契約書の案件組成の過程が含まれます。

またアレンジャーは案件組成のプロセスで、与信の判断材料となる借入人情報をインフォメーションメモランダム等によって参画見込みのある金融機関に引き渡しますが、情報の取捨選択など自己判断に基づく行為は伴いません。次のa.b.c.の内容が、インフォメーションメモランダムに、一般的に明記される場合が多いようです。

a.アレンジャーは単に、借入人から提供された情報を、借入人の委託に基づいて、そのまま提供しているにすぎないこと(アレンジャー独自の情報である場合は、その旨を明記します)

b.アレンジャーはインフォメーションメモランダムの情報の真正性を確認しておらず、また、情報の真正性を確認する義務はアレンジャーにはなく、貸付人にあること

c.アレンジャーには、ローン実行後の債務者状況の変化等に関する情報開示の義務がないこと(貸付人から情報開示の要求があれば、アレンジャーは債務者に取り次ぎ、債務者から得られた情報を、貸付人に伝達します)

さらにシンジケートローン契約書でも、貸付人は自主的に必要な情報を収集したうえで、自己責任において融資したことを確認しているケースが多いとされています。

このような考え方の背景として、金融機関である貸付人は、融資を本業とする与信判断におけるプロフェッショナルであるから、必要な情報の量及び範囲を自ら判断し、能動的に収集する能力を有した存在だとの認識があるからです。また、貸付人には、インフォメーションメモランダムの内容を精査し、その情報が不十分であると判断すれば、融資をしない選択肢を持ちます。シンジケートローンに参画する貸付人に対しては、十分な判断能力を持った主体であることを前提として、自己責任原則が徹底されています。

もっとも、アレンジャーが融資の可否に重要な影響を与えることを知りながら、借入人と共謀して、あえて貸付人に開示しなかった場合は、不法行為責任を負う可能性があります。

JSLA行為規範について

JSLA(日本ローン債権市場協会)行為規範につきましては、次のa.b.c.の条件を満たす場合に、アレンジャーの不法行為責任が問われる可能性がある、としています。

a.アレンジャーが知りながら、貸付人に伝達していない情報がある

b.当該情報は借入人が他に開示しておらず、貸付人はアレンジャーを介するより知りえない

c.当該情報は参画の意思決定に重大な影響を及ぼす

なお、シンジケートローンの借入人が民事再生手続きを申し立て、経営破たんした案件において、裁判のケースは次のような内容です。

第一審が、アレンジャーはそもそもシンジケートローンに参画する金融機関の利益の確保に努める主体でないことに加え、招へいをうけた金融機関は自己の権限と責任において融資の可否を判断すべきもので、融資の可否の判断に関して、信認義務違反ないしアレンジャーたる地位に基づく情報提供義務を否定しました(名古屋地判平22.3.26)。

これに対して控訴審は、参加金融機関の意思決定に重要かつ自ら知ることが困難な情報であれば、その内容が疑念にとどまる内容であっても、アレンジャーは参加金融機関に対して情報提供義務を負い、参加金融機関にこのような情報開示するに当たっては、借入人に対する守秘義務はない(名古屋高判平23.4.14)と判事しました。

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東原 正宗

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