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分割貸付契約が成立すると、いずれの考え方であっても、銀行など金融機関は将来取引先に対し約束に従って金銭を貸付なければいけません。しかし金融機関が全額を交付する前に、事業計画による資金の減少、取引先の経営悪化等による信頼関係の低下等の事態が生じる可能性があります。このような事態に至った場合には、金融機関は貸出予定額を減額したり、それ以上の融資を中止できる特約を結んで、債権保全を図ります。
特約の内容としましては、取引先が銀行取引約定書の期限の利益喪失条項に定める各場合に該当した時は、貸付未済額の交付はしないこと、あるいは、債務者の所要資金が計画等の変更により減少した場合には、取引先と協議の上貸付未済額を減額できること、などが定められています。なお、このような特約に該当する特別な事情がない限りは、金融機関は融資義務を免れることはできないことになります。
分割貸付と似たようなものに限度貸付と極度貸付がります。限度貸付とは、広い意味では分割貸付も含んでおり、金融機関が取引先との契約(諾成的金銭消費貸借または金銭消費貸借の予約)に基づき、取引先からの請求に応じて一定額までの融資を行うことをいいますが、狭い意味では分割貸付は含みません(以下、限度貸付というときはこの狭義の限度貸付をいいます)。
限度貸付は、あらかじめ貸付累計額に達するまでは融資を分割して行い、個々の貸付における貸出の時期や金額はその都度決めます。通常は、融資期間が長期にわたり資金計画に不確定要素の多い設備資金貸し付けの場合に使用されているといわれています。分割貸付では、確定した一定額を数回に分けて実行しますが、限度貸付ではまだ貸出額は確定していないのが大きな相違点です。
一方、極度貸付とは、あらかじめ貸付残高の最高限度額(極度額)を定めて、その範囲内で融資と回収を繰り返していく取引をいい、当座貸越取引が典型的な例です。金融機関は極度貸付契約により、極度額の範囲内での貸出義務を負担することになります。極度貸付では、貸出が限度額(極度額)の範囲内で反復して実行されますが、分割貸付では、いったん貸付を実行してしまえば、その後に返済があっても返済相当額を繰り返して貸し付けることはありません。この限度額内での反復性の有無が大きな相違点です。
分割貸付は、将来の融資を約束しますので、資金使途の確認とその必要性や取引先へのメリット等を十分に確認したうえで、優良先に限って行われることが多いようです。