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証書貸付は、その性格上、貸出期間が長期にわたることが多いため、返済に至るまでの間に、融資条件の変更がなされることが多くあります。変更次項については、登記を要するものや保証人等の承諾を要するものがありますので、手続きは慎重に行われます。融資事項の変更内容としては、次のようなものがあります。
①期限の延長(延長に伴う返済方法の変更を含みます)
②利息支払い方法の変更
③利率の変更
④損害金の利率変更
⑤返済方法の変更
変更契約書にてチェックされるのは、主に次のような事項です。
①変更内容が明示されているか
②変更内容を連帯保証人も承諾していることが明示されているか
③原契約書の概要(取引日、金額、現在残高など)が記載されているか
④原契約書記載事項について引き続き履行ないし遵守することが明白に記載されているか
⑤適法に印紙が貼られ、かつ、消印がされているか
⑥保証人の承諾印が押されているか
各種の変更契約について、保証人の同意を得る必要については、法的には不要なケースもありえますが、実際は、保証人にも同意の確認をするのが妥当であり、実務上もされるようです。たとえば、弁済期間の延長については、法的には保証人の同意は不要とされています。その根拠は、債務の延長は主たる債務の同一性を失わせるものでなく、かつ保証人の保証責任を重くするものでもないため、保証人への通知なしで保証債務も主債務に付従して変更されることになります。しかし、この場合でも、実務上は殆どのケースで保証人の同意をとるようです。
また、利率引き上げについては、旧銀行取引約定書ひな形で金融情勢の変化等により相当の事由がある場合には一般に行われる程度のものに金融機関が変更できる旨を定めていました。しかし、この条項の有効性には疑問も多く、金融情勢の変化その他相当の事由がある場合、一般に行われる程度まで、という2要件を厳格に解することを条件に有効と認められるとされていました。
もっともこの場合でも、金融機関は一方的に利率の変更をすることができる、という趣旨ではなく、利率変更には債務者の同意を必要とし、債務者は金融機関の請求に応ずる義務があると解することに注意すべきであると解されていました。保証人も当然債務者が差し入れた約定書の条項を承認の上保証しているのであるから、利率の引き上げについて、同意の義務があると判断されます。
平成12年4月に全国銀行協会の銀行取引約定書ひな形が廃止され、各金融機関が独自に銀行取引約定書を定めるものとされましたが、これまでの制定例では金利変更条件については、金融情勢の変化等があった場合、金融機関または債務者の双方から相手方に対し、金利の変更を請求できる、または、協議できる等と規定されているようです。